弘法大師空海ゆかりの悠久の歴史・金剛頂寺
~伝説と静寂に包まれた原生林のパワースポット~
四国高知の南東端、三方に太平洋が広がる室戸岬。
そこから10キロほど北西に車を走らせた三角山の中腹に龍頭山 光明院 金剛頂寺(りゅうずざん こうみょういん こんごうちょうじ)があります。
椎の原生林が広がる寺域は3万3000㎡もあり、駐車場から続く石段の周囲に立ち並ぶ木々が陽光を遮って涼しく静寂に満ちています。
石段を登っていくと山門があり仁王像が睨みを利かせています。
少し歩くと木々の切れ間から土佐湾に突き出た行当岬の先に光る太平洋が一望でき、とても清々しい気分です。
そして、さらに厄落としの石段を登ると広い参道が広がり、右手に大きな鯨供養塔、正面に荘厳な本堂が姿を見せます。
金剛頂寺は真言宗の開祖・弘法大師空海が807年平城天皇の命により本尊・薬師如来を造り創建されました。
薬師如来像は開山以来の秘仏で、空海の手により完成したとき、像が自分で本堂の扉を開けて鎮座したという伝説が残されています。
この金箔塗の本尊は毎年大晦日から正月8日まで御開帳されます。
普段は素地の薬師如来立像や日光月光菩薩立像、十二神将、不動明王半跏像などを拝観できます。
金剛頂寺には空海の残したいくつかの伝説が記されています。
石段を登って左側、大師堂の裏には空海の生涯を描いた絵巻物の一節が3枚の青銅板に刻まれています。
青年時代の空海が室戸をうろつく魔物を説得して足摺岬の方へ追い払った「天狗問答」。
楠のウロに空海が自らの姿を描き結界として魔物を寄せ付けないようにした「金剛定額」。室戸岬の海岸で修行の障害となった毒龍を呪いで四散させた「室戸伏龍」。
この3つのレリーフを見ることができます。
そして大師堂の隣には古びた大きな釜が飾られています。この釜で空海が495gの米を炊いたところ1万倍にもなり、飢えた人々を救ったことから「一粒万倍の釜」と呼ばれ、今も大切にされています。
他にも境内の霊宝館には、空海が修行中に使用した旅壇具や経典、密教法具等の国の重要文化財が保存されています。
弘法大師・空海の所縁が深い金剛頂寺は、お遍路・四国八十八箇所の第二十六番札所でもあり、今も多くの人々が訪れます。