知られざる室戸の深奥・段ノ谷山で、天を突くような樹齢500年の巨杉に包まれる、心揺さぶる圧巻の秘境体験
四国高知の南東端、室戸岬の東にある佐喜浜からオフロード車で佐喜浜川上流に向かって厳しい山道を約40分。
段ノ谷山天然杉の観光はガイド必須。普通の車ではたどり着けない秘境ですが、他では得られない貴重な体験をご希望の方にはお勧めです。
海に迫るほど近くに切り立った山々の間を車で走ると緑が目にまぶしく、道中の路に散乱する落石のあと、崩れやすい室戸の付加体の大地が、太古の昔に盛り上がってきた海底を連想させます。佐喜浜は過去に何度も山崩れに悩まされたそう。室戸の急斜面は崩れやすい反面、水はけがよく、台風銀座といわれるほどの降水量とあいまって、杉にとって最高の生育環境となったのです。
国営林の施錠されたゲートを抜けて、たどり着いた山道の入り口で車を降ります。
あまり人の入らない、枯葉が敷き詰められたような細い山道は険しく、油断すると急斜面を滑落しそうで緊張します。山道をアップダウンしながら九十九折りに登っていくと、年を経た杉の木が山道に沿って見えてきます。
それぞれの特徴に合わせ、ユニークな名前のつけられた特徴的な杉の木々の間を歩いていくと、ついに姿を現しました。神秘的で幻想的な大木「大杉」です。
大杉を見上げながら、長年降り積もった杉の枯葉の上に腰を下ろすと、清寂の中に鳥の声だけが響き、森の中の木漏れ日が涼しいです。ゴザを引いてしばらく眠りたくなるような気持ちよさです。
樹齢500年。五百年前と言えば戦国時代。戦国武将もこの木を見たのでしょうか?
ガイドの高田さん曰く「大杉を写真に撮ると木霊が映ることがある」とのこと。確かにそのような雰囲気。清浄な空気が木々の間を抜けていきます。
まだまだ登っていきます。
もう一つの見どころは仁王杉です。こちらは真っ直ぐに天に向かって伸びる立派な杉です。根元に動物でも住んでいそうな。大きなウロが空いています。
険しい山道を登ってきた甲斐がある素晴らしい大木です。
体力に自信のある人は更に先、野根山街道へ。地蔵峠を越えて岩佐の関所まで行くルートもお勧めです。
秘境・段ノ谷山の巨大杉群
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「秘境・段ノ谷山の巨大杉群」と室戸のつながり
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