隆起する大地を肌で感じる暮らし
〜室戸世界ジオパーク〜
観光では見えない地質遺産とともに生きる文化
四国高知の南東、今も大地が隆起し続ける世界的に希少な地質遺産である室戸は、市全域がユネスコ認定の世界ジオパークです。
「ユネスコ世界ジオパーク」とは、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的としたユネスコの事業です。
世界で48か国・213のユネスコ世界ジオパークが認定(2024年3月現在)
日本では10の地域が登録され、その中でも、市町村の全ての範囲を認定されているのは室戸を含む3つの地域しかありません。
自然と人間が共生するジオパークには、自然の恵みを生活に取り入れる知恵や工夫が詰まっています。時代を経たその「知恵や工夫」1つ1つがとても素晴らしく魅力的です。
田舎マップでは、室戸の人たちが大切にしている、日常に溶け込む有形無形の「愛着」を紹介していきます。もしあなたが気になる「愛着」があれば画像をクリックしてみてください。次々とページを好奇心に沿って「自然と人との繋がり」を辿れば、あなただけのストーリーが生まれ、あなただけの室戸の楽しみ方がきっと見つかるはずです。
▷地殻変動のダイナミズム◁
ー地殻変動の痕跡、大地の成り立ちを知るー
室戸では海岸や海成段丘などのあらゆるところに地殻変動の痕跡を見ることができ、新しい大地を形成する地球のダイナミズムを実感することができます。
例えば、室戸岬の遊歩道を歩けば、太古の昔に海底でできた土砂の地層が隆起して現れた縞々の岩(タービダイト層)が随所で見られます。
▷独特な植物相◁
室戸岬の海岸では国の天然記念物に指定されている亜熱帯性植物樹林や海岸植物群落によって独特な景観をみることができます。
例えば、海岸線には本州ではあまり見ることのできない、岩を這うように根を伸ば空に広がるアコウの木。足元にはシオギクなどの草木、リュウゼツランなどがあり、
山間部の段ノ谷山では、天然杉の巨木を多数見られます。
室戸の山々には潮風に耐えて育つウバメガシが群生し、それを原料とする良質な土佐備長炭の生産が行われ、室戸の重要な産業の1つとなっています。
▷自然と共生する文化◁
ー海底地形と豊かな漁場ー
東海岸直近の海底地形は1000m以深の深海に落ち込む断層崖になっています。
そこに地球規模の深層大循環がぶつかり、ミネラルを豊富に含んだ深層水が深海から一気に表層まで上昇しています、その海域には良質なプランクトンの発生による豊かな生態系があり、その漁場は室戸の漁業と文化を育んできました。古より湧き上がる海洋深層水は現在では製塩やサツキマスなどの陸上養殖にも活用されています。
▷海成段丘と美味しい農作物◁
地殻変動によって海底が隆起した「海成段丘」では海底由来のミネラル豊富な土壌により西山台地などでは室戸の「ふるさと納税b inの返礼品」として人気No.1の農作物を栽培しています。みかん・ぽんかん・小夏・せとか・なつみなどの柑橘類が有名です。
▷台風と建築様式◁
土佐備長炭で繁栄した吉良川では、「水切り瓦」や「つし二階」備えた白く輝く土佐漆喰の伝統的建造物が今も残されており、隆起による段差のある地形にできた町並みには「いしぐろ」の塀など激しい台風に耐える工夫が見られます。
室戸市では今も、大地が隆起し続ける地殻変動の最前線で暮らしている人々の知恵や工夫を随所に見ることができます。そして、この地質遺産を保護し研究に活用するとともに、自然と人間との関わりを理解する場所として整備し、教育の場として、また新たな観光資源として地域の振興にいかしています。
室戸は世界ジオパーク
「室戸は世界ジオパーク」と室戸のつながり
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室戸岬
室戸岬は高知県東南端の室戸市の突き出た頂点にあります。遮るもののない視界いっぱいの太平洋の眺めは圧巻で、その美しさから「日本の渚・百選」に選定されています。 室戸の地では、大陸と海洋のプレートがぶつかり合い地面を隆起させて日本を生んだ地球の活動、断層を直接見ることができ、室戸市全域が、自然・文化遺産と関連した地質遺産を活用し持続可能な社会の実現を目指すユネスコ世界ジオパークに認定されています。国際機関であるユネスコの世界ジオパークは日本には10地域しかありません。 海と陸が出会い新しい大地が誕生する最前線である、室戸ユネスコ世界ジオパークの南国情緒あふれる海岸線はアコウの木やウバメガシなどの亜熱帯性気候樹林や海岸植物が群生し、保全すべき優れた風景地として国から「室戸阿南海岸国定公園」にも指定されています。 室戸岬が歴史にあらわれるのは平安時代。かの弘法大師空海が四国の最果ての地、室戸岬を修行の場としました。明星が口に飛び込み悟りを開いたという洞窟(御厨人窟・みくろど)があり、この洞窟から見える空と海から「空海」の法名を得たとされています。(諸説あります)そして弘法大師は後に室戸岬で四国八十八ヶ所参りの第24番札所となる、室戸山明星院最御崎寺を開基します。最御崎寺で弘法大師が斧の秘技をもって製作したといわれる本尊「虚空蔵大菩薩」は秘仏となっています。 その他にも「目洗いの池」や「食わず芋」など、弘法大師はこの所縁の地で数々の伝説を残しました。室戸岬の遊歩道を歩きながら、その足跡を辿ってみるのもお勧めです。 なぜ弘法大師空海がこの室戸岬を修行の場として選んだのか? 若き日の空海を悟りへと導き、人生観を変えた絶景・室戸岬。ぜひ訪れてみてください! 訪れる際には、ぜひ地元の方の有志による「室戸市観光ガイドの会」のツアーに参加していただきたいです。地元ガイドさんとのコミュニケーションを楽しみながら、ブラタ〇リ感覚で室戸の魅力に迫ることができます。 -
室戸世界ジオパークセンター
地球の鼓動を感じる旅の始まり ユネスコ認定の室戸世界戸ジオパークセンターで出会う、大地との共生と未来へつなぐSDGs 四国高知の東南端にある室戸岬は今も大地が隆起しつづける、日本列島の最前線です。 5000年前から今に至るまでの地殻変動の痕跡に触れることで「地球の脈動」を感じることができる世界的に希少な地質遺産である室戸市は、市全域が、自然・文化遺産と関連した地質遺産を活用し持続可能な社会の実現を目指すユネスコ世界ジオパークに認定されています。国際機関であるユネスコの世界ジオパークは日本には10地域しかありません。 そしてそのジオパークの楽しみ方を知り、実際のフィールドを巡り、地元の人たちの話を聞き、人と大地の共生について(SDGsを)考えるきっかけづくりの拠点が、室戸世界ジオパークセンターです。 室戸ジオパークをどう楽しむかヒントや情報を入手できますので、室戸を堪能するためにまずここを訪れることをお勧めします。 室戸の大地のなりたちや室戸の人々独特の文化や産業についての資料があり、人が大地と共に生きていくためにはどうしたらよいかという問題について考えることができます。 ジオパークの体験ブースもあります。3D眼鏡で室戸沖の海底が急激に深くなっているのを見ると地殻変動のスケールの大きさを実感できます。素材のウバメガシが語り手となって「土佐備長炭」の成り立ちを説明してくれる映像も興味深いです。 旅の相談が出来るスタッフも常駐しており、ジオツアーや体験プログラムの申し込みも出来ます。 入館料は無料。9:00〜17:00 年中無休です。 様々なイベントも開催されているので🔗リンクからHPをチェックしてみてください。 -
タービダイト層
室戸岬の海岸線で出会う約4000万年前の深海の記憶 〜神秘の縞模様「タービダイト層」地球の鼓動を感じる絶景〜 四国高知の南東端の地、室戸は三方を太平洋に囲まれているため50km超えの長い海岸線を持ちます。 その海岸線、室戸岬の遊歩道を海に沿って歩いていくと、縦の縞模様のあるタービダイト(乱泥流堆積物)と呼ばれる珍しい奇岩を見ることができます。 タービダイトとは太古の昔(約4,000万年〜3,000万年前)海底で作られた、「砂」と「泥」が交互に堆積した、シマシマの地層です。 それを長い年月の中で繰り返し起きる巨大な地震が、地層を回転させながら隆起させ、私たちの目に見える地表まで海底から押し上げてきました。 この深海から引っ張りあげられてきたタービダイト層を見ていると、今でも少しずつ隆起し続けている、太古の昔から続く地球の鳴動に想いをはせてしまいます。 しかし、隆起してきたのはタービダイトだけではありません。そもそも室戸市全体が海洋プレートに押されて盛り上がってきた元海底ですので、その痕跡は随所に見られます。 例えば、室戸岬の西側に広がる枦山(はぜやま)-西山台地は上空から見ると見事な「海成段丘」。浅い海が隆起して広大で平坦な土地になったものです。 日当たりがよく水はけもよいため、室戸を代表する農作物の産地となっています。 随所で、日本列島の成り立ちを想起できる世界的に希少な地質遺産である室戸は、市全域がユネスコ認定の世界ジオパークです。 「ユネスコ世界ジオパーク」とは、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的としたユネスコの事業です。 世界で48か国・213のユネスコ世界ジオパークが認定(2024年3月現在) 日本では10の地域が登録され、その中でも、市町村のての範囲を認定されているのは室戸を含む3つの地域しかありません。 -
アコウの木
室戸岬の奇岩を締め上げるアコウの木 “絞め殺しの木”が語る自然遺産と観光の魅力 「アコウの木」のある室戸岬は四国の南東端。 眼下いっぱいにパノラマが広がる海、黒潮(北上する日本海流)の暖気が海風によって吹きそそがれ、1年中温暖な気候に恵まれます。 そのため日本でも珍しい天然記念物の亜熱帯性気候樹林や海岸植物の群生を見ることができ、保全すべき優れた風景地として「室戸阿南海岸国定公園」に指定されています。 その国定公園の象徴ともいえるのがこの「アコウの木」です。 アコウの木の見た目は驚くべきものです。その大木を見上げると空をヒビ割るように分岐して大きく長く広がる、無数に分かれた枝が。 下へたどると、大きな岩を這うように、掴むように幾筋も伸びる、気根と呼ばれる地上に露出する根が見えます。 なぜアコウの木はこのような奇怪な外見をしているのでしょうか? その秘密はこのアコウという木の、特殊な成長過程にあります。アコウはイチジクのような実をつけますが、その種は鳥によって運ばれ、他の木の「樹上」で発芽します。 そして木を這うように下に向かって気根を伸ばしていき、ついにはその木を覆いつくして枯らしてしまうのです。 そのことから「絞め殺しの木」とも呼ばれます。 天に向かって伸びる普通の木とは逆向きの成長が、アコウの木の不思議な姿を作っているのです。 そして足元の気根が絡みつく岩は、なんと約1600万年前に深海でたまった砂や泥が地上に押し上げられて岩となったもの(タービダイト)です。 このようにダイナミックな地球の運動、日本の成り立ちと、圧倒されるほどの自然の雄大な姿を目前に見ることができることから、室戸市は全域が自然・文化遺産と関連した地質遺産を活用し持続可能な社会の実現を目指すユネスコ世界ジオパークに認定されているのです。 -
吉良川の町並み
高知県で初めて、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された地区です。明治時代に建てられた土佐漆喰による塗屋造り、水切り瓦の蔵が立ち並び、懐かしい町並みが残されています。備長炭の繁栄と共に先人の手によって建築されました。白壁や水切り瓦の建物と「いしぐろ」などによる情緒ある町並みです。 -
海洋深層水
1989年、室戸市に日本で初めての陸上型の深層水取水施設が開設されました。海洋深層水とは、深200~300メートル以深を流れる海水のこと。深海では、太陽光が届かないので、海中での光合成で消費される栄養塩(窒素、リン、ケイ素、硝酸など)が消費されずに多く残っています。優れたミネラルバランス、水温が低温で安定し、さまざまな分野での可能性を秘めています。また、表層水と比べて生活排水の影響が無いため、清浄性が高いという特徴があります。室戸市では、自然の恵みである海洋深層水を、飲料水、製塩、陸上養殖などに活用しています。 -
西山台地
平らな段丘面上では台地農業が盛んに行われていています。あま~いサツマイモ、大根、ナス、ビワ、柑橘類はジオパークの宝。 -
日南(ひなた)
中山間部にある、農業集落。水稲、柚子に加え、幻の伝統野菜ぼたなす、田芋(里芋)、シキミ、らっきょう、落花生、といった多種多様な、美味しい農作物を生産しています。