胸ビレに星の紋が多いほど脂がのる室戸の幻の魚「モンズマ」は、“全身トロ”とも称される贅沢な味わい。海洋深層水が育む豊かな海の恵みを、地元の人々は家庭の食卓で楽しんでいます。自然と共に暮らす室戸では、都会では得られないスローライフの魅力と食文化が息づいています。
「モンズマ」(ヤイト)は、サバ科スマ属の魚です。
胸ビレの付け根に、星のような模様(紋)が3〜6個ほど並んでいるのが特徴で、この紋が多いほど脂がのっている証とされています。この模様が名前の由来となり、室戸では「モンズマ」と呼ばれています。
星の数が多いほど脂がのっている証拠。本カツオは皮目に脂がのるのに対し、紋スマは身全体に脂がまんべんなくのってくるのが特徴です。刺身にすると包丁に脂がびっしりとつくほど。大げさかもしれませんが、私の印象では「全身がトロ」と言っても過言ではありません。目利きのポイントとして、地元の漁師さんや料理人さんの間では、「顔が小さくて体が太い“小顔ちゃん”が一番」と言われ、脂のりも良いとされています。
室戸近海は、黒潮の流れ、急深な海底地形、海洋深層水の湧昇によるミネラル豊富な海域など、様々な好条件が揃う豊かな生態系がある特別な漁場です。だから都市部では味わうことのできない“特別な旬の魚”と出会うことができます。
私たちが伝えたいのは、地元の人たちが日々の暮らしの中で大切にしているけれど、都会にはなかなか届かない“価値”です。それは、自然の恵みを生活に取り込む営みであり、旬を楽しむ素朴な喜び。大量生産や安定供給には向かないけれど、少量多品種だからこそ生まれる豊かさがあります。鮮度が落ちる前に味わえる、地産地消の贅沢。
そんな“暮らしの中の価値”を、都会に暮らす人にも知ってほしいし、感じてほしいと思っています。
モンズマ
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「モンズマ」と室戸のつながり
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室戸の美味しい魚
海洋深層水と豊かな自然の恵みが育む、室戸の魚 “なんちゃあない”という町にこそ、本当に美味しい味がある。 「室戸はなんちゃあない(なんにもない)」 それが祖母の口癖でした。でも、そんな祖母が元気だった頃、都会に遊びに来て魚を食べると、決まって「うもうない(おいしくない)」と、ぽつりと漏らしていました。 都会には、多彩な飲食店がひしめき、見たことのない食材も並びます。 けれど祖母にとっては、そんな華やかな食の世界よりも、“なんちゃあない”室戸の魚こそが、なにより美味しく、心の底から愛した味だったのです。 室戸の人は「なんちゃあない」と皆さん仰いますが、室戸には「いいもの・おいしいもの」が沢山あると私は思います。「なんちゃあない」っていうのは、「話題性」のあるものがないっていうことなんでしょうね。 そして室戸の人はみんな案外グルメだと思っています。いわゆる“室戸あるある”ですが、みんな地元の食材が大好きなんです。 進学や就職で室戸を離れる人々が、決まってまず「室戸の食が恋しい」と口にするほど、室戸の味は根強い郷愁となって人々に染みついています。 実際、室戸の漁港には、高品質で本当に美味しい魚が次々と水揚げされています。 その理由は、室戸特有の地形と、海洋深層水の恩恵にあります。 海洋深層水とは、太陽光の届かない深海にある海水のこと。 深海には太陽光が届かないため、光合成が起こらず蓄積された窒素やリンなどの栄養がたっぷり詰まっていて、それが室戸の東海岸沿いの海で湧き上がるため、海には常にミネラル豊富な海水が満ちています。 この栄養たっぷりの海水で育った良質なプランクトンを基盤に、室戸の海には豊かな生態系が築かれているのです。 その結果、室戸の魚は自然に身が締まり、国の海洋深層水研究の最適地として選ばれた室戸ならではの旨みが凝縮されていきます。 とくに春先、室戸の沿岸近くを通過するブリは、たっぷりと栄養を蓄え、「室戸春ぶり」として親しまれています。これはもう季節の風物詩ですね。 もちろん、それだけではありません。 下段の「室戸のつながり」でも一部触れていますが、室戸では一年を通して多彩な魚が獲れ、大敷網(定置網)だけで年間約150種が取引されるほどの豊かさです。 海洋深層水という、室戸史上最大の自然の恵みが育んだこの豊かな海。 それは、遠い昔から室戸に寄り添い、今日の食文化をかたちづくってきたのです。 「なんちゃあない」と言いながら、「いいもの」が沢山あるそんな室戸をつたえていきたい、私も頑張って紹介して、みんなに教えたいです。 -
室津港釣り大会
いつもは立ち入り禁止になっている港を、年に1回だけ解放いたします。 昨年6月の開催以降、毎月試し釣りを行い釣果をとってまいりました。 結果、この時期が一番釣れる! となりましたー ちなみに、先日は「モンズマ」「グレ」が連れております♪ みなさま、大物を釣り上げにぜひお越しください。 応募方法は、申込用紙に記載の上、室戸市観光協会までFAXもしくは郵送ください。( イベントパンフレットより) -
カツオだけじゃない!
室戸の人は言います。 「室戸では本カツオより“スマカツオ”の方が好きな人が沢山いるよ“ハガツオ”とか“モンズマ”とかは食べたことある?」 高知県といえば「カツオのたたき」が有名なので、県外の人がカツオと聞いて思い浮かべるのは「本カツオ」だけかもしれません。しかし、有名ではない、メディアでは話題にならない美味しいものが産地にはたくさんあります。室戸にも名前の知られていない美味しい魚がたくさんあるのです。 室戸岬は、太平洋に突き出た地形で、黒潮に近く、昔からカツオ漁が盛んな地域です。そのため、室戸=カツオという印象が強いのかもしれませんが、室戸近海は、黒潮の流れ、海洋深層水の湧昇によるミネラル豊富な海域など、様々な好条件が揃う豊かな生態系がある特別な漁場です。 たとえば大敷網漁では年間に150種を越えるほど、さまざまな魚が混獲され、季節ごと旬の美味しい魚がうつり変わるのです。 だからこそ、声を大にして伝えたいのです。「室戸の魚は本カツオだけじゃない!」室戸には、カツオを含めて、それぞれに個性と旬の魅力を持った魚たちがいます。 今回は、その中から「カツオ」と名のつく、選りすぐりの美味しい魚を地元で親しまれている呼び方とともにご紹介します。 それぞれの魚がどのように美味しいかという詳しい説明は 下の「つながり」ページにありますので、そちらもぜひご覧ください。 ①カツオ 黒潮に乗って、室戸に“季節(春秋)の喜び”を運ぶ魚 ②スマカツオ 室戸ではカツオよりも人気?知る人ぞ知る冬の絶品 ③ハガツオ 旬が待ちどおしい!採れた日しか味わえない幻の魚の美味しさ ④モンズマ 全身トロ?身に浮き出た星の紋章が美味しさの証 室戸の人はこうも言います。 「本当に美味しい魚は、値段だけではわからない。知識がないとね!都市部では、値段と味が比例していないことが結構あるよね。肝心の“食材”以外にも費用がかかってるからなのかもしれないね。脂の甘さは直感的にわかりやすい美味しいさではあるけど、それだけじゃなくて、それぞれの魚種で違う“食感とか身の旨さ”を味わってほしい。室戸みたいな田舎に来たら、安価なものでも旬を知って食べることで、驚くほどの美味しいさに出会えるよ」 産地には、都会では知られていない魚や食材が、驚くほどの美味しさを秘めています。産地ならではの“少量多品種の魅力”はまだ広く知られていませんが、これは田舎暮らしの楽しみのひとつです。 都市部では「大勢の人に安定供給できること」が前提のサービスが中心にならざるをえません。また表面的な地方観光でも、知名度のない産品に触れる機会は限られています。 だからこそ、情報を知ったうえで産地に行って、“少量多品種の魅力”を堪能してほしい。“旬の美味しさを安価で味わう楽しさ”を、室戸でぜひ体験してみてください。