室戸岬の奇岩を締め上げるアコウの木
“絞め殺しの木”が語る自然遺産と観光の魅力
「アコウの木」のある室戸岬は四国の南東端。
眼下いっぱいにパノラマが広がる海、黒潮(北上する日本海流)の暖気が海風によって吹きそそがれ、1年中温暖な気候に恵まれます。
そのため日本でも珍しい天然記念物の亜熱帯性気候樹林や海岸植物の群生を見ることができ、保全すべき優れた風景地として「室戸阿南海岸国定公園」に指定されています。
その国定公園の象徴ともいえるのがこの「アコウの木」です。
アコウの木の見た目は驚くべきものです。その大木を見上げると空をヒビ割るように分岐して大きく長く広がる、無数に分かれた枝が。
下へたどると、大きな岩を這うように、掴むように幾筋も伸びる、気根と呼ばれる地上に露出する根が見えます。
なぜアコウの木はこのような奇怪な外見をしているのでしょうか?
その秘密はこのアコウという木の、特殊な成長過程にあります。アコウはイチジクのような実をつけますが、その種は鳥によって運ばれ、他の木の「樹上」で発芽します。
そして木を這うように下に向かって気根を伸ばしていき、ついにはその木を覆いつくして枯らしてしまうのです。
そのことから「絞め殺しの木」とも呼ばれます。
天に向かって伸びる普通の木とは逆向きの成長が、アコウの木の不思議な姿を作っているのです。
そして足元の気根が絡みつく岩は、なんと約1600万年前に深海でたまった砂や泥が地上に押し上げられて岩となったもの(タービダイト)です。
このようにダイナミックな地球の運動、日本の成り立ちと、圧倒されるほどの自然の雄大な姿を目前に見ることができることから、室戸市は全域が自然・文化遺産と関連した地質遺産を活用し持続可能な社会の実現を目指すユネスコ世界ジオパークに認定されているのです。
アコウの木
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「アコウの木」と室戸のつながり
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室戸岬を楽しむ
室戸岬は高知県東南端の室戸市の突き出た頂点にあります。 遮るもののない視界いっぱいの太平洋の眺めは圧巻で、その美しさから「日本の渚・百選」に選定されています。 室戸の地では、大陸と海洋のプレートがぶつかり合い地面を隆起させて日本を生んだ地球の活動、断層を直接見ることができ、室戸市全域が、自然・文化遺産と関連した地質遺産を活用し持続可能な社会の実現を目指すユネスコ世界ジオパークに認定されています。 国際機関であるユネスコの世界ジオパークは日本には10地域しかありません。 海と陸が出会い新しい大地が誕生する最前線である、室戸ユネスコ世界ジオパークの南国情緒あふれる海岸線はアコウの木やウバメガシなどの亜熱帯性気候樹林や海岸植物が群生し、保全すべき優れた風景地として国から「室戸阿南海岸国定公園」にも指定されています。 室戸岬が歴史にあらわれるのは平安時代。 かの弘法大師空海が四国の最果ての地、室戸岬を修行の場としました。 明星が口に飛び込み悟りを開いたという洞窟(御厨人窟・みくろど)があり、この洞窟から見える空と海から「空海」の法名を得たとされています。(諸説あります) そして弘法大師は後に室戸岬で四国八十八ヶ所参りの第24番札所となる、室戸山明星院最御崎寺を開基します。最御崎寺で弘法大師が斧の秘技をもって製作したといわれる本尊「虚空蔵大菩薩」は秘仏となっています。 その他にも「目洗いの池」や「食わず芋」など、弘法大師はこの所縁の地で数々の伝説を残しました。室戸岬の遊歩道を歩きながら、その足跡を辿ってみるのもお勧めです。 なぜ弘法大師空海がこの室戸岬を修行の場として選んだのか? 若き日の空海を悟りへと導き、人生観を変えた絶景・室戸岬。ぜひ訪れてみてください! 訪れる際には、ぜひ地元の方の有志による「室戸市観光ガイドの会」のツアーに参加していただきたいです。 地元ガイドさんとのコミュニケーションを楽しみながら、ブラタ〇リ感覚で室戸の魅力に迫ることができます。 -
海岸線
室戸岬を中心に東西約50kmの海岸線を有しています。ダイナミックな奇岩の乱立、どこまでも広がる水平線、突き抜ける空、青色の美しいコントラストが心を癒してくれます。そして太陽。朝日は東海岸の水平線から上り、西海岸の水平線に夕日が沈みます。室戸に来ると1日の始まりと終わりを、水平線に感じます。 -
岬の先っぽ 大地誕生の最前線を歩く
四国の突端の室戸市は、市域全体が世界ジオパークに認定されています。ツアーでは突端に位置する室戸岬の壮大な地形、空海にまつわる伝説とパワースポットを個性豊かな地元ガイドさんと一緒に、ブラタモリ的に楽しみます。地元ガイドさんとお話しをしながら、地球が動いている証拠を見つけてみませんか?地元ガイドさんから室戸のお楽しみポットを教えてもらって室戸を楽しんでください。 -
室戸は世界ジオパーク
隆起する大地を肌で感じる暮らし 〜室戸世界ジオパーク〜 観光では見えない地質遺産とともに生きる文化 四国高知の南東、今も大地が隆起し続ける世界的に希少な地質遺産である室戸は、市全域がユネスコ認定の世界ジオパークです。 「ユネスコ世界ジオパーク」とは、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的としたユネスコの事業です。 世界で48か国・213のユネスコ世界ジオパークが認定(2024年3月現在) 日本では10の地域が登録され、その中でも、市町村の全ての範囲を認定されているのは室戸を含む3つの地域しかありません。 自然と人間が共生するジオパークには、自然の恵みを生活に取り入れる知恵や工夫が詰まっています。時代を経たその「知恵や工夫」1つ1つがとても素晴らしく魅力的です。 田舎マップでは、室戸の人たちが大切にしている、日常に溶け込む有形無形の「魅力」を紹介していきます。もしあなたが気になる「魅力」があれば画像をクリックしてみてください。次々とページを好奇心に沿って「自然と人との繋がり」を辿れば、あなただけのストーリーが生まれ、あなただけの室戸の楽しみ方がきっと見つかるはずです。 ▷地殻変動のダイナミズム◁ ー地殻変動の痕跡、大地の成り立ちを知るー 室戸では海岸や海成段丘などのあらゆるところに地殻変動の痕跡を見ることができ、新しい大地を形成する地球のダイナミズムを実感することができます。 例えば、室戸岬の遊歩道を歩けば、太古の昔に海底でできた土砂の地層が隆起して現れた縞々の岩(タービダイト層)が随所で見られます。 ▷独特な植物相◁ 室戸岬の海岸では国の天然記念物に指定されている亜熱帯性植物樹林や海岸植物群落によって独特な景観をみることができます。 例えば、海岸線には本州ではあまり見ることのできない、岩を這うように根を伸ば空に広がるアコウの木。足元にはシオギクなどの草木、リュウゼツランなどがあり、 山間部の段ノ谷山では、天然杉の巨木を多数見られます。 室戸の山々には潮風に耐えて育つウバメガシが群生し、それを原料とする良質な土佐備長炭の生産が行われ、室戸の重要な産業の1つとなっています。 ▷自然と共生する文化◁ ー海底地形と豊かな漁場ー 東海岸直近の海底地形は1000m以深の深海に落ち込む断層崖になっています。 そこに地球規模の深層大循環がぶつかり、ミネラルを豊富に含んだ深層水が深海から一気に表層まで上昇しています、その海域には良質なプランクトンの発生による豊かな生態系があり、その漁場は室戸の漁業と文化を育んできました。古より湧き上がる海洋深層水は現在では製塩やサツキマスなどの陸上養殖にも活用されています。 ▷海成段丘と美味しい農作物◁ 地殻変動によって海底が隆起した「海成段丘」では海底由来のミネラル豊富な土壌により西山台地などでは室戸の「ふるさと納税b inの返礼品」として人気No.1の農作物を栽培しています。みかん・ぽんかん・小夏・せとか・なつみなどの柑橘類が有名です。 ▷台風と建築様式◁ 土佐備長炭で繁栄した吉良川では、「水切り瓦」や「つし二階」備えた白く輝く土佐漆喰の伝統的建造物が今も残されており、隆起による段差のある地形にできた町並みには「いしぐろ」の塀など激しい台風に耐える工夫が見られます。 室戸市では今も、大地が隆起し続ける地殻変動の最前線で暮らしている人々の知恵や工夫を随所に見ることができます。そして、この地質遺産を保護し研究に活用するとともに、自然と人間との関わりを理解する場所として整備し、教育の場として、また新たな観光資源として地域の振興にいかしています。 -
乱礁遊歩道
空海伝説と奇岩が彩る「乱礁遊歩道」で、ユネスコ世界ジオパークの自然と歴史ロマンに触れる 室戸岬で癒しと発見の散策 四国高知の南東、室戸岬の先端には広大な太平洋を望む海岸沿い約2.6kmの遊歩道、「乱礁遊歩道」があります。 室戸ゆかりの二人の人物の石像、室戸青年大師像(空海像)と中岡慎太郎像をつなぐように作られたその遊歩道は、珍しい「植物相」や「地層」そして「伝説」と見どころ満載で、心地よい海風に吹かれながら散策すれば、室戸岬を心ゆくまで味わうことができます。 室戸青年大師像を南下していくとまず目につくのが海岸沿いにある大きな岩たちです。 聳え立つマグマの塊である「ビシャゴ岩」には自らの美しさに絶望し身を投げた、室戸三美女の一人「おさご」という女性の伝説があります。 他にも、岩が硬すぎて波に削られずに帽子の形に残された「エボシ岩」、海底の砂と泥が交互に積み重なった「タービダイト」、石を投げ乗せると子供が授かる「子授け岩」、「空海の横顔に見える岩」など海岸線には様々な奇岩を見ることができ、貴重な地質遺産から市全域がユネスコ世界ジオパークに認定された室戸を随所に感じることができます。 そして、真言宗を創始した高僧、弘法大師「空海」が悟りを開いたと言われる「御厨人窟」付近には空海の残した足跡が、遊歩道の中にも数多くあります。 まず「御厨人窟」のすぐ近くには修行中の空海が沐浴した「行水の池」。この池は満潮で海水が入るのにも関わらず真水のままだとされ、さらに空海は「ビシャゴ岩」で背中をこすり、岩を滑らかにしたといわれます。 空海が一晩で岩盤を掘って作ったと言われる「一夜建立の岩屋」(現代で重機使っても一晩は無理です)を過ぎると、空海が加持祈祷し民衆の眼病を直したと伝えられる「目洗いの池」が今もあります。 遊歩道を進むと、珍しい植物たちにも興味を惹かれます。温暖な気候の室戸では遊歩道の周りも本州では見たことのないような植物で囲まれています。 特に「アコウの木」は必見で、岩を這うような根と大きく広がる枝には驚かされます。 他にも室戸の特産品である土佐備長炭の原料となる「ウバメガシ」など珍しい亜熱帯性気候樹林や海岸植物が群生し、保全すべき優れた風景地として国から「室戸阿南海岸国定公園」にも指定されています。 中岡慎太郎像まで辿り着くと「ジオカフェ」があり、遊歩道を歩いてきた休憩にはピッタリです。見た目が黒くてインパクトがある「土佐備長炭」と「室戸海洋深層水の塩」を配合した「ジオソフト」や、ホットケーキ・ワッフルを「深層水コーヒー」などの飲み物とともに楽しむことができます。 訪れる際には、ぜひ地元の方の有志による「室戸市観光ガイドの会」のツアーに参加していただきたいです。地元ガイドさんとのコミュニケーションを楽しみながら、ブラタ〇リ感覚で室戸の魅力に迫ることができます。