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老婆のひと言で芋が食べられなくなった?里芋が胃腸薬に…
あれはまだ平安時代のこと、空海さんがまだ若き青年として、「虚空蔵聞持の法」の修行を行うために室戸に錫杖を置いた頃のことです。
ある日、現在の水掛地蔵菩薩群近くの小川で、老婆が里芋を洗っている姿に出会いました。
空腹に耐えかねた空海さんは、老婆に「里芋を一ついただけないでしょうか」と頼みます。
しかし、老婆は芋を惜しんだのか、「この芋は食べられません」と言ってしまいました。
その言葉をきっかけに、里芋は煮ても焼いても食べられなくなり、以来「不喰芋(くわずいも)」と呼ばれるようになったのです。
それでも慈悲深い空海さんは、この芋に薬効を残し、現在では胃腸の妙薬として親しまれています。
この伝説からは、空海さんが仏に守護されていた修行者であり、同時に物質に霊力を宿す“加持力”を備えた特別な存在であったことがうかがえます。そして、「与えること、分かち合うこと」の大切さが教訓として読み取れる逸話でもあります。
現在、不喰芋の畑は最御崎寺本堂のそばで見ることができます。